【食レポ】岩槻の隠れ家「おくゆき」で黒毛和牛フルコース|記念日や接待にもおすすめ

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「“心が動く体験”」──
埼玉・岩槻にひっそりと佇む炭火焼の名店『おくゆき』は、ただお腹を満たすだけの場所ではありません。

店主が選び抜いたA5ランクの黒毛和牛、旬の野菜や魚介たちを、炭火でじっくりと焼き上げる一皿一皿。その裏には、火を知り尽くした職人の技と、素材の背景を語る会話の温かさがあります。

焼く前の食材を見せてくれたり、火入れのプロセスを楽しませてくれたり、時にはクイズまで飛び出す。
「ただの高級ディナー」では終わらない、記憶に残る“食のライブ体験”がここにありました。

今回はそんな『おくゆき』の【フルコース】を実際に体験し、一皿一皿の感動を余すことなくお届けします。

これまで都内を中心に数百軒のレストランを食べ歩いてきましたが、今回はとっておきの一軒です。

目次

炭火×和牛×野菜 おくゆき とは

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埼玉・岩槻にある『おくゆき』は、A5ランク黒毛和牛と旬の野菜・魚介を“炭火”で焼き上げることに特化した炭火焼専門店です。店名の「おくゆき」は、“素材の奥行きある味わい”や“丁寧な仕事ぶりから生まれる深み”を大切にしたいという店主の想いが込められています。

【公式】おくゆき 詳細

特徴と食材へのこだわり

岩槻駅から徒歩3分というアクセスの良さにもかかわらず、店内はまるで都会の喧騒を忘れるかのような静寂と落ち着きに包まれた和モダン空間。最大の魅力は、何といっても炭火の扱いに熟練した店主が、丁寧に焼き上げてくれるスタイル。焼きすぎず、でも甘みと香ばしさは最大限に引き出す火入れの技術は、都内の高級焼き料理店にも引けを取りません。

また、使用する食材にもこだわりが光ります。和牛はすべてA5ランクの黒毛和牛ヒレ肉を中心に仕入れ、野菜は地元の契約農家からその時期に一番美味しいものを厳選。魚介類も市場での目利きで旬のものを仕入れ、コース内で提供されます。

料理はすべて塩を基本としたシンプルな味付け。調味料でごまかすのではなく、素材そのものが持つ“奥行き”を引き出す構成になっています。この潔さと自信こそ、真の職人の証といえます。

そして特筆すべきは、記念日や接待に最適なコース料理。メニューは5,000円台のライトなコースから、10,000円台の「フルコース」まで幅広く用意されており、あらゆるシーンに応えてくれます。

地元岩槻で特別な日を過ごしたい方、素材本来の旨味を味わいたいグルメな方には、間違いなくおすすめできる一軒です。

食べるだけじゃない、“学びと遊び”のあるディナー体験

「おくゆき」での時間は、単なる“高級炭火焼ディナー”ではありません。
それはまるで、五感と好奇心をフルに刺激してくれる「炭火の劇場」

特に印象的だったのは、店主との会話の楽しさ。
黙々と焼いて出されるのではなく、むしろ料理の登場前からワクワクが始まっています

コースの最中、店主が見せてくれたのはこれから焼かれるバナナ、ハルーミチーズ、野菜、そして和牛のヒレ肉
「こちらが今日の主役です」と手渡すように目の前で見せてくれる。

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しかもそれだけでは終わらず、
「この野菜、どこ産だと思いますか?」「ハルーミチーズはどこの国の食材でしょう?」
──といったちょっとした“食材クイズ”まで飛び出します。

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こうしたコミュニケーションが心地よく、肩肘張らない距離感でこちらも自然と笑顔に。

“お腹を満たす”だけじゃない、“心に残る”時間

「単に満腹になるための食事ではない」
この言葉は、おくゆきで過ごした時間そのもの。

食材の背景、調理の技、香りの変化、そして“美味しいのはなぜか”を丁寧に教えてくれることで、
一皿一皿に意味があり、記憶が刻まれていくのです。

まさに、料理を通じて「火」や「素材」と対話しているような特別な夜を味わえます。

実際にいただいたコース料理|フルコース

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今回、私が注文したのは「フルコース」。
まさに『おくゆき』の魅力が凝縮された贅沢な内容でした。

蕗・芹・茄子のゴマポン酢和え

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最初にいただいたのは、春を感じさせる和え物。
蕗のほろ苦さ、芹のシャキッとした歯応え、茄子のとろける食感が見事に三位一体。
そこに合わせられるのは、コクと酸味が絶妙な“ゴマポン酢”。

ポン酢だけなら酸味が立ってしまうところを、ゴマのまろやかさでうまくバランスが取れていて、
「この店は前菜からしてただ者じゃないな」と、口の中で早くも期待感が高まりました。

自家製和牛低温ローストビーフと岩槻産ヨーロッパ野菜のサラダ

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見た目から美しい一皿。薄くスライスされた自家製ローストビーフは、驚くほどしっとり&ジューシー
低温でじっくり火入れされた肉は、中心にうっすらピンクを残しながら、口に入れた瞬間とろけます。

一緒に添えられているのは、岩槻で育てられた珍しいヨーロッパ野菜たち。
まさに“地産地消×高級素材”の完成系サラダと感じました。

広島産牡蠣のオイル漬け

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3品目は、小皿にちょこんと盛られた牡蠣のオイル漬け
正直、これだけでワイン1杯いけてしまうほどの濃密な旨み。

旬の野菜の炭火焼|有機栽培 × 炭火の魔法

この日の野菜は、埼玉県産の有機野菜を中心に、全国から取り寄せた“今が旬”の厳選素材

炭火でじっくり焼かれることで、野菜の水分がぎゅっと凝縮。
特に印象的だったのは、しいたけの香りと甘みの強さと、ジューシーなズッキーニとアスパラ

炭の香ばしさが野菜の表面にほどよく移っており、外はパリッと、中はじゅわっと。まさに絶妙な火入れでした。

この野菜盛り合わせには、高知県の天日塩「土佐の塩丸」が添えられていて、これがまた素晴らしい名脇役。

通常の塩とは異なり、ミネラルの甘みを感じる丸みのある味わいが特徴。
どの野菜にふりかけても、素材の輪郭を邪魔せず、むしろ引き立ててくれるような不思議な塩です。

個人的には、しいたけに軽くこの塩をのせて食べた瞬間、「あ、これはもう一品料理だ」と唸ってしまいました。

「野菜だけで、こんなに満たされるなんて…」と思える炭火焼。これだけを食べに来ても価値があると断言できます。

魚料理|繊細さと香ばしさが共演する“炭火の妙技”

肉料理のインパクトに目を奪われがちですが、おくゆきの真価は“魚料理”にも宿っています
この日の魚は、脂がのった旬の天然魚炭火でじっくり焼き上げた一品

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魚は旨みが内部に閉じ込められ、ふっくらとした身の仕上がりに。
炭火焼き特有のパリッとした皮目とのコントラストが絶妙で、
一口ごとに、香ばしさと繊細な脂の甘みが広がっていきます。

特に印象に残ったのは、香りの豊かさ
ガス火では決して出せない“炭の香り”が、淡白な魚の輪郭を引き締め、まるで高級割烹でいただく焼魚のような上質さに感動しました。

肉が主役のコースかと思いきや、「魚こそ記憶に残った」という方もきっといるはず。炭火という技術を、魚に応用した美味しさの極みを、ぜひ味わってみてください。

ハルーミチーズの炭火焼|“焼けるチーズ”の感動を五感で味わう

コースの中盤、目の前に運ばれてきたのは、一見小さくカットされた焼き豆腐のようなビジュアルのチーズ。
しかし、焼き目から漂う香ばしさとキュッと弾力のある感触に、「これはただのチーズじゃない」とすぐに気づきました。

そう、それが“焼いても溶けない幻のチーズ”として知られる【ハルーミチーズ】の炭火焼です。

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ハルーミチーズは、地中海・キプロス原産のチーズで、高温で焼いても溶けにくい特性を持ちます。
炭火の強火で表面をパリッと焼き上げることで、香ばしさがグッと引き出され、
中はもっちりとした独特の弾力を残しているのが最大の魅力。

一口かじると、カリッ → モチッ → ジュワッとミルキーなコクが一気に押し寄せてきて、
「これ、チーズなのにチーズじゃない!」と誰もが驚くはず。

コースの中でこのハルーミチーズが登場することで、味覚にアクセントと遊び心が加わるのもポイント。
肉でも野菜でもない、でも両者の良いところを持ち合わせたような不思議なポジションにあって、
舌を休ませながら、しっかりと印象を残していく、そんな“名脇役”的存在でした。

個人的には、ワイン好きの方には絶対に刺さる一皿だと感じました。

「焼きチーズ=重たい」と思っている方にこそ食べてほしい。炭火の力で生まれ変わったハルーミチーズは、まるで“香ばしく焼いた濃厚なミルクの結晶”。

椀物|牛脂と舞茸の和風コンソメスープ

炭火焼の合間に供される一椀のスープ。
しかし、ただの“箸休め”では終わらないのがおくゆきの椀物のすごさです。

この日のスープは、牛脂と舞茸の和風コンソメ仕立て
一口目から、舌に染み入るような優しい塩味と、深く芳醇な香りに包まれます。

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コンソメといえば洋風のイメージですが、このスープはあくまで“和のバランス”が軸。
牛脂のコクがベースにしっかりとありつつ、出汁のような柔らかいうま味が後からじんわり追いかけてきます。

口に含むと、**「ああ…お肉を極める人が作るスープだ」**と実感するほど、
主張は強くないのに、体にすーっと溶け込むような感覚に。
これは単なる脂っぽさではなく、“エッセンスとしての牛”の使い方が絶妙なのです。

A5ランク黒毛和牛 ヒレ肉

いよいよコースのクライマックス。
炭火焼の頂点にして、「おくゆき」の真髄とも言える一皿──それがA5ランク黒毛和牛ヒレ肉の炭火焼です。

「牛肉の女王」とも呼ばれるヒレ肉。その名にふさわしく、
この一皿には気品と迫力、そして技術のすべてが詰まっていました

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まず驚くのが、箸だけでもスッと切れるほどのやわらかさ。
それでいて、中はしっとりと肉汁を湛え、断面は美しいロゼピンク
まるで宝石を切ったような滑らかさがあり、一切れを口に運ぶたびにうっとりしてしまいます。

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そして噛んだ瞬間、
舌の上でふわりとほどけていく繊維感と、脂ではなく“肉の甘み”が静かに広がる
これこそ、ヒレ肉の真骨頂でした。

このヒレ肉と一緒に供されるのが、自家製の「実山椒のオイル漬け」

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口に入れるとぷちっと弾ける実山椒の食感と、じんわりと広がる清涼な辛み。
その風味が和牛の甘みをグッと引き締めてくれて、まるで別の料理に変化したかのような感覚になります。

特に後半、脂の甘みが舌に残るタイミングで少量合わせると、
山椒のキレがリセットしてくれて、また最初の一口のように新鮮な感動が戻ってきます。

あまりに気に入ってしまったので、店主に尋ねたところ、この実山椒のオイル漬けは店頭で購入可能とのこと。
迷わず自宅用に一瓶購入しました。

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炭火焼バナナ&アイスクリーム

最後に登場したのは、まさにコース全体を締めくくるにふさわしいデザート
それが、『炭火焼バナナ&アイスクリーム』です。

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このデザートの粋なところは、コースが始まる前に「これから焼きます」と店主がバナナを見せてくれる演出
黒く熟れたわけではなく、まだ張りのある、しっかりとした生バナナを見せられたとき、
「これがどんな風に変わるんだろう」とワクワクが膨らみました。

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そのバナナが、コースを楽しんでいる約40分の間、炭火の端でじっくりと火を通されていきます。

コースのラスト、いよいよ登場したバナナは、皮が全体的に真っ黒になっており、
見た目には「これは焦げているのでは?」とすら思うほど。

しかし、スプーンを入れた瞬間──
中からとろっとろの果肉が現れ、湯気とともに甘い香りがふわっと広がる

味わいは衝撃的。
生のバナナとはまったく別物で、キャラメルのようなコクととろける口当たり
炭火の力で果糖が引き出され、まるで“焼きプリンの中心だけ”を食べているような濃厚さでした。

「おくゆき」のデザートは、“甘いだけ”で終わらせない。
炭火というテーマを一貫して貫く姿勢と、その完成度の高さに感動です。

焙じ茶|春日部「おづつみ園」

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コースの最後にそっと供されるのが、
春日部市の老舗茶舗「おづつみ園」から仕入れた、特選の焙じ茶です。

湯呑みに顔を近づけると、ふわりと立ち上る芳ばしい香り
焙じ茶特有のスモーキーさに加え、「おくゆき」で味わってきた炭の香りと絶妙にリンクし、
まるでコース全体の“総括”として口内と気持ちをリセットしてくれるようでした。


おくゆき 基本情報

項目詳細
店名和牛と野菜の炭火焼 おくゆき
所在地埼玉県さいたま市岩槻区本町3-8-15 平野ビル2F
最寄駅東武アーバンパークライン 岩槻駅 東口 徒歩3分
営業時間ランチ 11:30~14:00(最終入店 13:00)
ディナー 17:30~22:00(最終入店 20:30)
定休日火曜・第2第4水曜
予約公式LINE / 一休レストラン など
公式サイトhttps://okuyuki-sumibi.com
Instagram@okuyuki.sumibi

まとめ|“焼く”を極めた先にある、感動のディナー体験

一皿ごとに驚きと感動があり、五感すべてで“火”と“素材”を楽しませてくれる『おくゆき』のフルコース。
単に「美味しい」だけではなく、料理の背景や食材の変化までも味わえる、まさに“体験型グルメ”でした。
丁寧に焼き上げられたA5和牛や旬野菜、ユニークなデザート、そしてそれを彩る店主との会話──そのどれもが、記憶に残る贅沢な時間をつくってくれます。
特別な日にはもちろん、何気ない日常のご褒美としても訪れたくなる、岩槻の隠れた名店。
もし「次に誰かを連れていくなら、どこ?」と聞かれたら、私は迷わず『おくゆき』と答えます。

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