「ジビエの街 鶴巻温泉」と聞いて、鹿や猪を食べに訪れました。
ただ、実際に歩いてみると“行けばすぐ食べられる名物”ではないことが分かります。
そこで本記事ではまず、鶴巻温泉で確実にジビエを食べる方法を先に解説します。
- 看板メニューとして提供している店舗を選ぶこと
- 11月頃開催のジビエマルシェのタイミングを狙うこと
この2つを押さえれば、空振りの可能性は大きく下がります。
そして、これらを調べ、実際に複数店舗を回る中で見えてきたのは、単なる“名物グルメの不安定さ”ではなく、地域が新しい観光コンテンツを育てようとする過渡期のリアルでした。
観光協会はジビエを軸に街の魅力を広げたい。
一方で、店舗側には仕入れや営業の現実がある。
その間で揺れる、少し切実な温度差。
この記事では、鶴巻温泉でジビエを食べる具体的な方法とともに、その裏側にある“名物を育てる難しさ”にも触れていきます。
がっかり体験で終わらせるのではなく、だからこそ応援したくなる理由を、体験ベースでお伝えします。
結論|鶴巻温泉でジビエを食べたいなら白ひげ食堂かジビエマルシェ
今回、複数店舗を歩き回って分かったのは、鶴巻温泉のジビエは「どこでも食べられる名物」ではないということでした。
つまり“行けば食べられるグルメ”ではなく、タイミングと場所を選ぶグルメです。
確実に食べたいなら、選択肢はほぼこの2つになります。
白髭食堂に行く

鶴巻温泉の飲食店の中で、「看板メニューとして」ジビエを提供している数少ない店舗です。
>白髭食堂


他の店のように「ある時だけ出す一品」ではなく、ジビエを前提に来店しても成立するタイプのお店。
今回歩いて感じた限り、ジビエ目的で訪れて成立するのはここだけと言っても過言ではありません。

いくつか注意点があって以下のとおり
・上記画像のとおり水曜日と木曜日が定休
・13:30頃には営業終了間近ということで入店できないことがある
・店内は4~5席程度しかないので、グループで行くと全員一緒には席につけない
・ジビエが売り切れることがあるので、できれば12:00までにお店に行っておきたい
駅から最も近い飲食店の内の一つでアクセスも良好。
基本、鶴巻温泉でジビエを食べるならここしかないと思っていただいても問題ないかと思います。
11月頃開催のジビエマルシェを狙う

もう一つはイベントタイミングを合わせる方法。
鶴巻温泉では毎年、秋〜初冬にジビエマルシェが開催されます。
このタイミングでは、お店でジビエが提供されるのではなく、屋台として弘法の湯の駐車場へ集まり提供されるので、ジビエマルシェのタイミングに行けば、100%ジビエを楽しむことができますが、11時に開始してから12:00には完売する店舗が出てきます。
つまり結論はシンプルです。
普段の鶴巻温泉 → 白髭食堂へ
確実に楽しみたい → ジビエマルシェの時期に行く
これを知らずに行くと、何軒回っても食べられない可能性が高いので注意です。
ジビエの街|鶴巻温泉の他の店舗でジビエを食べることができるのか

上記写真は弘法の湯で掲載されている鶴巻温泉駅周辺のジビエを提供しているお店の一覧です。
鶴巻温泉駅を降りると、ジビエをPRする登り鶴巻温泉駅を降りると、ジビエをPRする旗が目につきます。

また、ここで初めて見ましたが、ジビエの自販機も設置されていたりします。


この力の入れようを見ると、せっかく鶴巻温泉に来たからには、鶴巻温泉の名物(?)であるジビエをランチで食べようと思い、掲載されているどのお店で何を食べることができるのかチェックしました。
ただ、ここで違和感があったのは
・鶴巻温泉+ジビエでインターネット検索してトップに来るページが2021年から更新されておらず未完成
・掲載されている店の半分以上が喫茶店もしくはスナック
・写真で掲載されているメニュー以外のジビエ料理を提供していない(基本1店舗1メニュー※白髭食堂除く)
ということです。
鶴巻温泉×ジビエ公式サイトが更新されていない・未完成
「鶴巻温泉」+「ジビエ」で検索トップに来るサイトは以下です。
私も鶴巻温泉でジビエを食べようと、一番始めにチェックしたサイトが上記でした。
この時点で、鶴巻温泉はジビエが本当に名物なのかと疑問に思う点がいくつもあり、気になって点を列挙します。
未完成のまま放置

例えば、鶴巻温泉ジビエマップに以下の記載があります。
- 小田急線鶴巻温泉駅すぐ
- 東名高速道路 秦野中井インター ○○分
- 新東名 伊勢原大山インター ○○分
正直なところ有料駐車場の場所は多数あるので、なんの時間をそもそも記載するつもりであったのか不明ですが、「◯◯分」の状態で更新されていません。
お知らせ・新着情報が2021年で更新停止
更新停止というかそもそも未完成で、お知らせタイトルが「お知らせサンプル」となっているので、仮状態であることが想像できます。

また、お知らせサンプル内の「read more…」はクリックできますが、クリックすると以下の表示がされます。

ジビエ期間特別営業と記載されているが「特別営業期間」がいつかが記載されていない

このサイトで紹介されている店舗の営業時間の中には、「ジビエ期間特別営業」と記載されているものもありますが、この「特別営業をするのがいつなのか」が記載されていません。
一般的には11月~2月が狩猟期間ではありますが、私が鶴巻温泉に来た2月は特別営業とされている時間に店舗が空いていなかったので、少なくとも2月は期間外ということがわかりました。
Whois情報公開代行を利用している
一般的な公的サイトでは、サイト所有者や運営者(※厳密には所有者・運営者と呼べないケースもありますが、少なくともサイトに関わる組織や担当者は公開されるのが一般的)が公開されています。
詳細は割愛しますが、確認方法はサイトドメインを「whois検索」すると明らかになります。
このサイトを検索すると、GMOの「Whois情報公開代行」業者を利用しているため、サイトの所有者を確認することができません。
「Whois情報公開代行」を使用するケースとしては、個人ブロガーや炎上系など、なにかしらの理由で自身のプロフィールを公開したくない場合に利用されます。
ちなみに、誤解がないよう記載しますが、「Whois情報公開代行」は無料で利用することができ、手続きも代行を利用するかしないかのチェックボタンを押すだけでできる場合が大半なので、公開するのか代行にするのかそこまで意識していない方も多いと思いますし、利用すること自体は悪では全くありませんが、少なくとも「企業」の場合は公開することが一般的です。
ジビエ提供店舗の多くが喫茶店かスナック
提供店舗一覧は以下から確認できます。
ここで提供している店舗の営業時間や店舗外観を見ればなんとなく想像できます。
実際にいくつかの店舗に足を運んでみました。
上記の映像でいうと、一番始めに見える店舗が「Airis」、次に「Re:turn」最後が「フルール」です。


喫茶店やスナックでも料理に力を入れている店舗はもちろんありますが、確率論の問題で、ジビエという特殊な食材に対して、こだわりの料理が出てくる可能性は低いと思います。
各店舗で提供されているジビエメニューが少ない|基本1店舗1メニュー
また、実際の店舗に行きメニューを見て確認しましたが、基本は1店舗1メニューの提供です。
私の勝手な理想ではあるかもしれませんが、ジビエの街でジビエを提供する飲食店であれば、イノシシ、シカのメニューや部位毎に異なる調理法・料理が提供されてもいいはずなのに、提供されているものが1種類のみというのが強烈な違和感でした。
白髭食堂以外でランチタイムにジビエを食べることができるのか実際に調査
前述のとおりそもそもジビエを食べることができるのかかなり不安でしたが、ジビエマップに記載されていて、ランチタイムに営業している店舗をいくつか回りましたが、結論、ジビエは売り切れ・提供してないことがわかりました。


以下店舗は陳列されておらず、メニュー表も確認しましたが、記載自体ありませんでした。


以下の店舗も提供していないことがわかりました。

などなど、ご紹介したもの以外もランチタイム営業店舗は一通り回ってきましたが、結局ジビエ提供している店舗はなく、ジビエを食べることができませんでした。
「ジビエありますか?」
と聞いた際の各店舗の雰囲気ですが、一瞬の沈黙と、少し驚いた表情。
「え……ジビエですか?」
その“間”が空く感じが多いです。
もし本当に“名物”なら、
「はい、こちらです!」
「今日は鹿がありますよ!」
と即答されるはずですが、でも実際は、
・メニューを探しながら確認
・厨房に聞きに行く
・「今日は無いですね」と申し訳なさそうに言われる
この流れが複数店舗で繰り返されました。
さらに気になったのは、ジビエ目当ての客が珍しい空気感。
観光地の名物なら「それ目当てで来ました」という客は一定数いるはず。
でも店員さんの反応からは、
“え、わざわざジビエを食べに?”
というニュアンスを感じました。
ポスターの印象と、現場の温度感。
そのギャップを強烈に感じました。
補足:私が訪れた2月は少なくともジビエ提供期間であることは間違いない

秦野市としては、2月にジビエを食べようキャンペーンを実施しているので、少なくとも2月にジビエ自体の入荷をしようと思えばできる状態ではあるかと思います。
そのため、訪れる期間が悪かった、ジビエ提供期間があってどうこうという問題ではなさそうです。
ジビエの街鶴巻温泉の闇の考察
6軒ほど回ってもジビエに辿り着けなかった時点で、私は「運が悪かった」で片付けるのをやめました。
これは偶然ではなく、構造として“そうなっている”気がしたからです。
現地で強く感じたのは、鶴巻温泉のジビエが「飲食店の主役」ではなく、あくまで地域PRの文脈で“名物っぽく見せている”ということでした。
観光協会側の意図は分かる。「温泉×名物」を作りたい
温泉地って、正直どこも似てしまうんですよね。
「泉質がいい」「静か」「都心から近い」だけでは差別化が難しい。
特に別の記事でも記載しましたが、駅の名称が「鶴巻温泉」という温泉というキーワードが入る地域にも関わらず、基本的には入れる温泉が「弘法の湯」の1店舗のみです。
そのため、温泉街として売り出すには実態が伴っておらず難しい・・・
そこで“フック”として分かりやすいのがご当地グルメ。
丹沢のふもとで、猪や鹿が身近なエリアなら、ジビエは名物にしやすい題材です。
実際、ポスターもマップもちゃんと作られていて、打ち出す熱量はある。
つまり観光協会としては、
- 鶴巻温泉に来る理由を増やしたい
- 「温泉だけじゃない」体験を作りたい
- “ジビエの街”という分かりやすい肩書きを付けたい
この方向性自体はすごく納得できます。
でも店舗側は「日常の商売」を優先する。ジビエは“安定しない”
一方で、飲食店が看板メニューとしてジビエを回し続けるのは、かなり難しいはずです。
理由は単純で、仕入れが安定しないから。
ジビエは
- 入荷が読めない(個体・処理・流通の都合)
- 量が限られる(大量仕入れできない)
- 管理の手間がかかる(温度・鮮度・提供方法)
- 仕込みが必要(下処理・味の調整)
しかも、一般客のニーズは「刺身・唐揚げ・焼き鳥」みたいな定番に寄りやすい。
店としては“確実に回るメニュー”を軸にしたいので、ジビエはどうしても
「あったら出す」
「たまに出す」
「一品だけ置く」
という立ち位置になります。
現地の「え!?ジビエ?」という反応も、これが根っこにある気がしました。
ジビエを日常的に求めて来るお客さんが少ないなら、なおさらです。
こう考えると、提供店舗が喫茶店やスナックに偏ってしまうのも納得です。
“名物化”はイベントだと成立する。でも通常営業では難しい
じゃあ、なぜマップに載るほど“ジビエの街”を名乗れるのか。
これも現地の印象としては明確で、イベント(ジビエマルシェ)の時は成立するからです。
イベントなら
- 期間限定で仕入れを揃えやすい
- 食べ歩き・話題性がある
- 「ジビエ目的の客」が集まる
- 店も“その日だけ”なら頑張れる
つまり、普段の営業の延長線で名物化するのではなく、
“イベントで成立する名物”として設計されている
この感覚がしっくりきました。
まとめると「観光PR」と「現場の現実」の温度差
私が感じた構図は
- 観光協会:ジビエで街を盛り上げたい(名物化したい)
- 店舗:通常営業で回る範囲で協力はする(ただし無理はできない)
この温度差があるから、ポスターの熱量に対して、現場は“そこまでジビエ一色ではない”。
結果として
「ジビエの街」と聞いて来た人ほど、“え、どこにも無いじゃん”となりやすい
私がまさにそれでした。
だからこそ、結論としては前章の通りで、看板で出している店に行くか、イベント時期を狙うか。
普段の平常運転でそういえばジビエ食べたないと思い立ったときに訪れると、空振りする確率が高いと思います。
まとめ
今回の体験を通して感じたのは、鶴巻温泉のジビエは「完成された観光名物」ではなく、いままさに育てている途中のコンテンツだということです。
確かに、現時点では“行けばどこでも食べられる名物”とは言えないかもしれません。
でもそれは裏を返せば、地域が本気で「新しい魅力を作ろう」と動いている証でもあります。
温泉地としての歴史がある中で、さらにもう一つの顔を作ろうとしている。
丹沢の自然という強みを活かし、ジビエというテーマで差別化しようとしている。
その挑戦は、私は素直に応援したいと思いました。
名物は、最初から完成しているものではなく、地域・店舗・お客さんが少しずつ関わることで育っていくもの。
今回私は食べられませんでしたが、だからこそ次は「白髭食堂に行ってみよう」「マルシェの時期に来てみよう」と思えています。
“まだ発展途中”ということは、これからもっと良くなる余地があるということ。
鶴巻温泉のジビエが、数年後には本当に胸を張って「名物」と言える存在になっていることを期待しつつ、また訪れたいと思います。
そしてその成長過程を、温泉と一緒に楽しめる街であってほしい。
そう感じさせてくれる、ポテンシャルのある場所でした。

